《星が瞬くから不完全な夜空》御礼その終
2019年 09月 19日

黒い真綿ではなく、命の詰まった海
完全な夜空が息を潜めたと感じたのは
星が瞬くことで
闇の隅まで泳げなくなったからか
夜空のテーブルを囲む私達を照らすのは
それぞれの持つ灯でいい
そんな時もある
星を並べるのも
星を呑むのも
わたしからわたしへ
わたしの中をめぐり、生まれる軌跡
ループの糸は
時を経るごとに複雑になっていくが
ひとりというのはひとりでは確立しないし
ひとりでないと確立しない
夜空の奥の命、名もない星
きらめく星、月、美しく散った雲
清濁、未知既知
世界がぐるりと前廻りをする夜の真中で
名もない私を俯瞰したのでした

最後に
展示会場に掲出した文章を

*
夜空の突き当たりをノックすれば
思い出したように星々が灯るだろうか
ここは光も歩けない暗闇
私はここにいる
誰に伝えたいのだろう
私はここにいる
こことはどこだろう
言葉が漂着しては乾いていく
瞬間
銀食器を溶かした光が
夜を塗り籠めた空に糸を引く
瞼を伝う流れ星の言葉が
私の辞書を埋めていった
不完全な夜空の刹那
私はひとり


by 9-romitsu
| 2019-09-19 01:09
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